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シ*ノωノ)バ

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零距離彼女 前編
当時私は十五歳になったばかりで、小さな山村にある無駄にでかい屋敷に住んでいた。


屋敷と同じく、棺桶死家の歴史は古い。
ご先祖様がけっこう身分の高い人で、私が生まれ育ったその屋敷は
我が家の血筋と歴史をひっそりと守るように
受け継がれてきたものなのだそうだ。

だから私も、大人になったらこの家を守らなくてはならないのだろうな、と、
幼いころからぼんやりと思ってはいた。


        ・ ・ ・ ・ ・
しかしまさかあんなものまで受け継ぐことになっていようとは、
想像だにしていなかった。






川д川 零距離彼女のようです 【+  】ゞ゚)






(゙'、`*川「オサムさん、そこにお座りなさい」

壁にたくさんの白黒写真が飾られてはいるが、どれが誰だかさっぱり判らない仏間に
ある日私を呼び出して、私の祖母はそう言った。
いつもの着物姿で、仏壇を背にして座っている。
祖母は小柄だが姿勢がよく、人の顔をまっすぐ見つめて話すのでなかなか妙な威圧感がある。
私は大人しく彼女の前に正座した。

【   】ゞ゚)「なんですかお婆さん」

ついでに言うと、私――棺桶死オサムはこの時点で
目上の人に対して横柄な口がきけない身体になってはいたものの(祖母の教育の成果)、
まあ、平均的と言っていい程度には、ありふれた成長を遂げた少年だった。
ただ一点を除いて。

(゙'、`*川 「あなたももう十五歳です。十五といえばもう立派な大人ですね」

【   】ゞ゚)「そうでもないと思いますが」

(゙'、`*川 「というわけで今日は大切なお話をします。心して聞きなさい」

【   】ゞ゚)「はあ。なんでしょう」

祖母が人の話を聞かないのはいつものことなので
早々に諦めて続きを促す。



(゙'、`*川 「ときにあなた、将来のことは考えているの?」

【   】ゞ゚)「ああ、そういうお話ですか。そうですね、とりあえず大学に行って、
       それからよく考えて自分にあった職業につきたいと思ってはいますが」

(゙'、`*川 「却下」

Σ【   】ゞ゚;)「却下!?」

思わずひっくり返った声でおうむ返ししてしまった。
まさか将来に向けての淡い希望を光の速さで否定されるとは。

【   】ゞ゚;)「な、なぜですか!? お金がないからですか!?
        もちろん学費は出来る限り自分で稼ぐつもりでいましたよ!?
        そりゃちょっとは実家の手助けも期待してはいましたが、あ、いやなんでも」

(゙'、`*川 「お金の問題ではありません」

祖母は軽く握った拳を口元に当て、こほん、と咳払いをして言うと、
不気味なほどにっこり微笑んだ。



(゙'、`*川 「今まで黙っていましたが、オサムさん、
      あなたには我が棺桶死家の家業を継ぐという使命があるのです」

【   】ゞ゚)「……家業?」

私はぽかんとして祖母の顔を見つめ、
それから何度か空中に目線をさまよわせて考え込むことしばし、

【   】ゞ゚)「……ウチの家業ってなんです?」

と、なんだかすごく間抜けなことを口にした。

だがそれも仕方のないことだったと思う。
なぜなら私は物心ついてから十五年間、父が働いている処を一度も見たことがなかったからだ。

【   】ゞ゚)「要するにお父さんニートじゃないですか」

ちなみに私の祖父は私が生まれる前に他界しており、
母も毎日うちにいて、祖母と共に家事に勤しんでいる。
つまり我が家には収入を得る手段も人間も一切存在していない、ということになる。

ついでに言うと父は婿養子なのでこの家の最高権力者は祖母である。誰も逆らえない。



【   】ゞ゚)「私に父さんと同じニートになれと言うのですか?」

(゙'、`*川 「違います。ていうかそこまで判っていて
      生活に困ったことがないのを疑問に思ったりはしなかったのですか、あなたは」

【   】ゞ゚)「田舎だし、収入がなくても意外となんとかなるもんなのかな、と思っていました」

(゙'、`*川 「あんまり田舎を舐めるんじゃありませんよこのシャバ憎が」

【   】ゞ゚;)(シャバ憎って……)

(゙'、`*川 「将来の希望といい、あなたは世間というものを甘く見すぎています。
      大学に行きたいと言いましたね?」

高齢の女性にあるまじき発言に絶句していると、祖母は私に向かって
鋭い一瞥を投げ、

         なり
(゙'、`*川 「その形で一般人にまじって普通の大学生活が送れるとでも?」

と、無慈悲に人差し指を突きつけた。



【   】ゞ゚)「何をおっしゃいます」

私は冷静だった。

【   】ゞ゚)「たかが棺桶を背負っているだけじゃないですか」

(゙'、`*川 「現実逃避はおやめなさい」

【   】ゞ゚;)「せめてポジティブ思考と言ってください!!」

五秒ともたなかった。


そう――
私という存在において最大の、そして最悪の問題点。
どんなに頑張っても一般的とは言いがたい、あまりに異質なドン引きオプション。

祖母が指差したのは私ではなくその背後。
がっちりと私の背中に固定された、シンプルな白い棺桶なのだった。



(゙'、`*川 「小さなこの村でさえ浮いているのによそでやっていける訳ないでしょう」

【   】ゞ゚;)「ちょっと待ってくださいお婆さん、
        そもそも私が浮いているのは誰のせいだと思っているんです!?」

平然とのたまう祖母にさすがに黙っていられず食って掛かる。

【   】ゞ゚;)「お婆さんが強制的に私にコレを背負わせたんじゃないですか!
        どうして他人事みたいな顔していられるんです!」

私は胸の前で交差している鎖――棺桶と私とをぐるり固定している――を
がしっ、とつかんで前のめりになった。



私が棺桶を背負って生活するように言いつけられたのは十三歳のときだ。

もちろん私も最初は何かの冗談だと思った。
だが祖母は本気だった。
私に無理やり棺桶を背負わせ、細めの鎖でつないで、簡単な錠までかけた後、
「この棺桶を許可なく降ろしたらお前は死にます。というか私が殺します」と祖母は言った。
本気だった。
間違いなく。

ちょと想像してみて欲しいのだが、
顔見知りばかりの小さな山村で、しかも中学生という多感な時期に
これから二十四時間三百六十五日、ずっと棺桶を背負っていなさい、拒否権はありません、と
ある日突然言い渡される――

人生終わるレベルではないだろうか。



【   】ゞ゚)「実際、私の人生はある意味そこで終了したんですよ!?
       すごくいじめられたんですから」

(゙'、`*川 「いやだオサムさん、それで黙っていじめられていたの?
      私があなたにずっと剣道をやらせていたのはなんのためだと思っているんです」

【   】ゞ゚;)「そのためだったんですか……!?」

(゙'、`*川 「まあ、それだけって訳でもありませんけど」

【   】ゞ゚)「でも『素人相手に剣を振るったら私があなたの息の根を止めますよ』
       って言ったのもお婆さんですよね」

(゙'、`*川 「あらぁ、そうだったかしらねぇ」

歳を取ると物忘れがひどくて、と祖母は白々しく頬に手など当ててみせる。

【   】ゞ゚;)(な……殴りたい……)

お年寄りに対して抱くにはあまりにも過激な欲求を理性で押さえ込み、
ぶるぶると拳を握って耐える。



(゙'、`*川 「とにかく、私だってなんの意味もなく孫に棺桶を背負わせたり
      剣道を習わせたり
      将来の進路を限定している訳ではありません」

そう願いたい。
もしも無意味な思いつきの末の行動だなどといわれた日には
さすがの私もこの拳を抑える自信がない。
……まあ、おそらく、殴りかかった処で返り討ちに遭うだろうが。

(゙'、`*川 「それを今からお話しようと言っているのです。
      ――そうね、ここから先は当人にも同席してもらいましょうか」

【   】ゞ゚)「当人?」

(゙'、`*川 「どうぞ。お入りになって」

きょとんとする私にかまわず、祖母は少し大きな声を出して、
ふすまで隔てられた隣の部屋に向かって呼びかけた。




「……はい」


蚊の鳴くような、ちいさな、か細い声だった。
それから間を空けずに、ふすまが控えめに数センチ開く。


かと思うと突然、ガッ! とその隙間に指がかけられた。


Σ【   】ゞ゚;) ビクッ


四本の蒼白い指が、ずず、ずずず、と
妙に恐怖感を煽るゆっくりしたテンポで少しずつふすまを開けていく。


【   】ゞ゚;)))「……!?」


そうして開いたその隙間から突如、ぞろり、と闇色をした長い髪と白いうなじが覗き、と同時にがくがくと小刻みに揺れる腕がゆっくりとしかし確実に悪寒を伴ってこちらに伸びてk


Σ【   】ゞ゚;)))「ちょっ、待っ、なん、うおああああああああ!!??」



(゙'、`*川 「貞子さん。貞子さん落ち着いて」

Σ川д川 「はっ!?
       ……あ、あら、ごめんなさい……つい緊張しちゃって……」

(゙'、`*川 「いえいえいいんですよ、さ、どうぞこちらにお座りになって。
      オサムさんもそんな遠くまで飛び退ることないでしょう。戻ってきなさい」

【   】ゞ゚;)「なっ……なっ……!?」

(゙'、`*川 「相変わらず人見知りなのねぇ、貞子さん。
      はじめてお会いしたときのことを思い出しましたわ。懐かしいこと」

川д川 「いやだわ、そんな昔の話……はずかしい」

(゙'、`*川 「ほほほほほ」

川д川 「うふふ」



【   】ゞ゚;)「いや、あの」

まるで現状が把握できずに呆然としていた私は
なごやかに笑いあう得体の知れない女二人を数秒見つめてから我に返り、
崩れていた姿勢と襟を正して問いかけた。
かなり基本的なことを。

【   】ゞ゚;)「……なんなんですか? 一体」

(゙'、`*川 「ああ、この人は貞子さんというの。
      ちょっと人見知りで気が昂るとさっきみたいに地が出てしまうけれど、
      慣れればどうということはないから大丈夫」

【   】ゞ゚;)「あんなホラーな人見知りあっていいものなんですか!?
        ていうか、地!? あれが地!?」

(゙'、`*川 「失礼なことを言うんじゃありません。
      そして、貞子さん、これが孫のオサムです。先日十五になりました」



川д川 「……」

貞子、という女性は、髪の奥に隠れた目でじっと私を見ているようだった。


あまりにもインパクトのある登場に気を取られていたが、よくよく見ればごく普通の女の人だ。

腰の辺りまであるまっすぐな黒髪。
目元を隠すようにセンターで分けられた長い前髪のせいでいまいちよく見えないが、
すっと通った鼻筋や細いあごのラインからして、顔立ちは悪くなさそうだ。
おそらく私と同じか少し上、いってせいぜい十七、八歳ぐらい。
シンプルな白いワンピースを着ている。


【   】ゞ゚)「あの、お婆さん。この人はどういう……?」

(゙'、`*川 「貞子さんは、オサムさんが将来背負っていかれるお人ですよ」

【   】ゞ゚)「え?」

含みを持たせた表現に、私は思わず動揺した。

実を言うと、私は常々腐心していたのだ。
このままでは歳相応のまっとうな青春を送ることはおろか、
恋人を作ることもままならず、一生独り身で過ごすことになるのではなかろうか、と。
何しろ棺桶を背負っている。(あらためて言うと本気で馬鹿みたいだ)

まさかとは思うが、まさかこの状況は、祖母が私を妖怪棺桶男に仕立てあげた責任を取り、
アフターケア的な償いの意味を込めて許婚の女性を連れて来たとか、そういう、

(゙'、`*川 「違います」

【   】ゞ゚)「ですよね」



即行で否定された。
まあ、本当に許婚だったらそれはそれでちょっと困っただろうが、なんか意味もなく凹んだ。
ちなみに妖怪棺桶男というのは無邪気な小学生が私につけたあだ名である。

【   】ゞ゚)「では背負うというのはどういう意味で?」

気を取り直してさらに訊くと、
祖母はまたしても私を――ではなく、私の背後を指差した。

(゙'、`*川 「文字通りの意味ですよ。
      この人はあなたがその背中の棺桶と共に背負う人です」

【   】ゞ゚)「……」

(゙'、`*川 「もっと言うなら、あなたはこれから『この人が中に入った棺桶』を背負うことになります」

【   】ゞ゚)「……」

(゙'、`*川 「……」

川д川 「……」

【   】ゞ゚)「……お婆さん……しっかりしてください、ボケるにはまだ早いdがふぁっ!!」

グーで殴られた。



【   】ゞ゚;)「グーって……!」

(゙'、`#川 「オサムさん。あなたは棺桶死家の当主となるお人なのですよ」

老女にグーで殴られた、というショッキングな鈍痛に耐える私を祖母はキッと睨みつけた。

(゙'、`#川 「貞子さんを背負うのは、代々棺桶死家の男児に課せられた大事なお役目なのです。
      この国を厄災から守るという尊い使命です。
      ボケなどではありません。訂正しなさい。誰がボケ老人ですかこの腐れ孫」

【   】ゞ゚;)「後半から確実に個人的な方向にいってるじゃないですか!
        ていうか『代々』ってなんですか『代々』って。
        そんな言い方したら、まるで貞子さんが何百年も昔から
        ウチと付き合っているみたいじゃないですか」

川д川 「そうだけど」

【   】ゞ゚;)「そうなんだ!?」



反射的にレスポンスを返してしまってから、いやいやいやいや、と自分で首を振って撤回する。

【   】ゞ゚;)「何を言ってるんだ、いいんですよ、君まで祖母につきあわなくても」

川д川 「あら……ペニサスちゃんの言っていることは本当よ……」

【   】ゞ゚;)「だから……、ペニサス『ちゃん』?」

川д川 「私はずっと昔から……あなたのお爺さんの、そのまたお爺さんが
      まだ生まれてもいないころから、棺桶家に縁がある……」

特別声を小さくしている訳でもないのに
まるでひそひそと内緒話をしているような独特の声色。
私は理由も判らず気圧されて、ごくり、とのどを鳴らしてしまう。

川д川 「だからね」

そこでいったん言葉を切り、貞子ははにかむように小首をかしげて、
くちびるの端をほんのすこし持ち上げるだけの笑顔をうかべた。


川ー*川 「そろそろ終わりにしてもいいかなって思ってるの」






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ブーン系小説 | 00:33:11 | Trackback(0) | Comments(0)
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