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僕の神様


川д川 僕の神様のようです ( ・∀・)






( ・∀・) 「神様神様、朝ですよ」

川д川 「……うー」

( ・∀・) 「あんたうなると恐いからやめてください」


僕の生まれた村は背に大きな山を背負っている。
山には一年中うすく霧がかっていて、
いちばん奥まった禁域と呼ばれる場所に、ひっそりとお社が建っている。

彼女はそこに奉られている。


( ・∀・) 「はい起きた起きた。朝ごはん食べます?」

川д川 「……たべる……」


やっと身体を起こした彼女は子どもみたいに布団のはしを握り締め、
ぼんやりと僕を見て、やがて、少女のように笑った。



ずるずると伸ばした黒髪を寝台中に散らかし、怠惰なあくびをもらす
どう見ても少女の格好をした『これ』は、少女のかたちをした神なのだという。


どうしたって山の恵みなしでは生きていけない土地の住人が最も恐れているのは、
言うまでもなく、山の神の機嫌を損ねて災いをもたらされること、
そして豊かな恩恵を賜れなくなってしまうことだ。

そのため、一番お山に近い僕の生まれた村は
山の神を奉るための社を建て、
神官兼世話係を定期的に送り込むことで栄えてきた。

僕は数年前に十五代目のお世話役に選ばれ、
以来、神様に付き従っている。


でもこの神様は付き合ってみるとただの人間と変わらなくて、
山の外にも出られず、何百年もの間ただただぼんやりして過ごしてきたという彼女は、
奉りたてられているというよりむしろ閉じ込められているようだった。



川д川 「……もう半年、になるの?」

朝食の最中、神様が果物を頬張りながら話しかけてきて、
僕は焼きたてのパンにはちみつを塗りながら答える。

( ・∀・) 「ええ、だから雪が降る前に一度、麓の村に帰ります。
      神様のお言葉を下々の者に伝えるのもお世話役の仕事ですから」

そう言って彼女にパンを差し出すと、左手に果物、右手にパンを持って
交互にかぶりつきはじめたので、行儀が悪い、と軽く睨む。
彼女は口を尖らせたものの、大人しく果物を皿に戻す。

川д川 「べつに大した神託なんてないんだから、わざわざ山を降りなくたって」

( ・∀・) 「わがまま言わない。それに不老不死のあんたと違って
      僕は冬支度をしないと死ぬんです。冬山装備を色々仕入れてこないと」

川д川 「……モララーがいないとつまんない」

( ・∀・) 「……おみやげ買ってきてあげますから、ね?」

僕がそう言うと神様はしぶしぶうなずいた。
くちびるの端がはちみつで汚れていたので、指でふき取ってやるとはにかむように笑う。

こうしているとこの子はほんとうに少女のようだ。
ちょっと陰気臭いけれど。



それから僕は一日かけて山を降りて、半年ぶりに村に帰った。

普段はおさんどんとか掃除とか、あと寝坊した神様を起こすとか
「僕はお母さんか?」と自問したくなるようなことばかりやっているのだが、
この職には神官として神様のお言葉を賜る、という大事な役目ももちろんあって、
それを年に二度、村の長に伝えるのが決まりなのだ。

だが神様本人も言っていた通り、わざわざ山を降りてまで伝えるべきことは特にない。
そもそも重大な神託(天変地異のお告げとか)なんて、十年に一度あればいい方なのだそうだ。
それでも定期連絡はきちんと行わなくてはいけないという。
面倒なことだ。僕はこの生まれ育った村に、できれば近寄りたくないと思っているのに。

( ・∀・) 「なぜって僕は鼻つまみ者ですからね」

ねぇ長、と村長に向かって言うと、彼はあっさりうなずいた。

( ´ー`) 「そりゃお前さん、不幸を呼ぶ呪い子として有名だからヨ。
      孤児だったのを不憫に思って拾った親が、続けて三人も死んじまっちゃぁナ」

( ・∀・) 「さっきさっそく石を投げられましたよ」

( ´ー`) 「そーかヨ。そんじゃあお言葉も賜ったし、早くお山に帰りなヨ。
      幸い神様はお前を気に入ってくれたようだし、お前もあちらの方が居心地いいだろ?」

( ・∀・) 「そうですねぇ、なかなかどうして快適に暮らしていますよ。
      正直言うと、長の命令で得体の知れない神とやらの処へ追いやられると知った時は
      心の底から死ねよクソジジイと思ったものでしたが」

( ´ー`) 「さっさと帰れコノヤロウ」



( ・∀・) 「というわけでさっさと帰ってきましたよー」

川ー川 「おかえりなさーい」

村での用事をできるかぎり手早く済ませて、僕は予定より半日早く山に帰った。
お社につくと、神様が嬉しそうに両手をひらひらさせながら出迎えてくれて、
生まれ故郷に戻った時より何倍も懐かしく、それがなんだかおかしかった。

( ・∀・) 「はい、ただいま。おみやげいっぱいありますからね」

リュックを開けて品物をチェックしつつ、
神様のために村の店で仕入れてきたお茶やらお菓子やらを出す。
彼女はそれをわくわくしながら眺めていたが、不意に「あれっ」と声を上げた。

川д川 「モララー、怪我してる!」

( ・∀・) 「え? ……ああ」

言われて初めて、僕はこめかみの皮膚がうすく破れて
血が流れているのに気が付いた。

――忌み子。
――呪い子。

おなじみの罵倒と共に投げつけられた石つぶて。
久しぶりだったから避け損ねたのだ。
ちょっとムカついたから投石した奴に向かってにたり、と笑いかけてやったら
面白いほど青くなっていたので、それで僕の気は晴れたのだが。



( ・∀・) 「なんでもありません。ただのかすり傷です。大丈夫」

川д川 「ほんとう? ほんとうに?」

神様があんまり心配そうにするので、僕はなんだか困ってしまう。
気遣われるのは慣れていない。
なだめるように 「大丈夫」を繰り返して血をふき取り、
止血作用のある葉を取ってきて傷口に当てて見せると、彼女はようやく落ち着いてくれた。

川д川 「……私に傷を治すような力があったら良かったのに」

( ・∀・) 「ないんですか?」

川д川 「うん、ない。呪い殺したりはできるけど」

それは傷を癒す力なんかよりよっぽど彼女に似合っていたので僕は笑った。
神様はきょとんとして、でも僕が笑ったので嬉しかったのか、
つられたようにうふふと笑った。



川д川 「ずぅっと昔はね、私のお山に勝手に入ってくる人間が嫌いだったから、
      片っ端から呪いにかけてたりしてたんだけど」

( ・∀・) 「おうふ」

うっかり変な声が出た。
咳払いでごまかして続きをうながす。

川д川 「それからしばらくは誰も入ってこなかったんだけど、
      ある日、子どもが一人送り込まれてきて――『自分は生贄だ』っていうの」

神を鎮めるための生贄。
ずいぶん短絡的としうか、昔話にふさわしいワイルドなプレゼントではある。
しかし唐突に生贄だなどと言われても
彼女は人間を食べる趣味などなかったし、ただ困ったなと思っただけだった。
なぜか殺す気にはなれなかったそうだ。

川д川 「帰っていいよって言っても帰れないって言い張るし……」

( ・∀・) 「まあ、その状況じゃ命惜しさに逃げ帰ってきたと思われるだけでしょうからね」

川д川 「うん、だからしょうがない、傍で身の回りのこととかやってもらうことにしたの。
      ――今考えるとすごくいい時に来てくれたんだよね、その子。
      なんだか知らないけど、私、その頃から急に力が弱くなっちゃったから……。
      昔はごはんとか食べないで平気だったんだけどな」

呪いばっかりかけてたせいかなぁ、と彼女は不思議そうに首をかしげた。



結局、理由は不明だったが、とにかく彼女はその頃から人間と同じような生活をするようになり、
生贄は自ら進んで神様の世話をしていたという。
彼女もその子が気に入って、その半年後、大雨と川の氾濫を察知した時には、
「故郷が無くなるのは不憫だと思って」人里まで知らせに行かせてやったのだそうだ。

村人は驚いたことだろう。荒ぶる鬼神だとばかり思っていた山の神が
生贄の命を取らずにいたばかりか、災厄を予言し、多くの命を救ってくれたのである。
感激した村人はありがたやと山の中に立派な社を作って彼女を奉り、元生贄は神に仕える神官となった。

川д川 「それで、人間もそんなに悪いものじゃないかなって思ったから、
      あんまりひどく荒らさなければお山にも入ってもいいよ、ってことにしたの」

( ・∀・) 「なるほどねぇ。それが定期世話役差し入れ制度の発端ですか」

川д川 「知らなかったの?」

知らなかった。
村の一員として当たり前に暮らしていれば知っていたのかも知れないが、
万年村八分状態だった僕にはそういうことを教えてくれる人がいなかったのだ。

川д川 「ふぅん。そっか。だからモララーは私と普通にお話ししてくれるのね。
      今までの人たちは、みんな私の機嫌を損ねたら呪われると思ってたみたいで、
      目も合わせずにずっとびくびくしてたのに」

( ・∀・) 「では僕もそうしましょうか?」

川д川 「えっ、ヤダ!」



びっくりしたように思わず叫ぶ彼女に、僕は堪えきれず笑みをこぼす。

( ・∀・) 「冗談ですよ」

他人行儀に振舞って彼女を悲しませるなんて、この僕に出来る訳がない。

疎まれ、蔑まれ、気味悪がられるだけの存在であったこの僕に、彼女は居場所を与えてくれた。

いっしょに食べるごはんがおいしいとか、おしゃべりすると楽しいとか、
無邪気な彼女のそんな些細な言葉や態度が
独りに慣れきっていた僕にとってどれほどの衝撃であったことか。

 ――私、いままでのお世話役の中でモララーがいちばんすき。

そんなことを笑って言ってくれた僕の神様。

人を殺したことがあるからなんだというのだろう。
彼女が鬼神だろうと邪神だろうと、そんなのはどうでもいいことだ。

花が太陽に焦がれるように、大地が慈雨を求めるように、僕は彼女が愛おしくてたまらない。


( ・∀・) 「僕はずっとこのままでいます。あなたがそう望むなら」




それから僕と彼女は幾年かの時を共に過ごした。

僕はぐんぐん背が伸びて身体も大きくなり、
お世話役になったばかりの頃の少年の面影は少しずつ薄れていったけれど、
神様は、ずっと華奢な少女のままだった。


( ・∀・) 「神様神様、さっさと起きないとお昼になっちゃいますよー」

川д川 「……うぅ~ん……」

( ・∀・) 「このやり取り何年やってると思ってんですかー」


きっと何年時が経っても、僕の寿命が尽きて死ぬ時が来ても
彼女だけは幼いまま、永遠に変わることはないのだろう。

別れの時を想像すると今から少し胸が痛む――きっと泣かせてしまうだろうから――けれど、
こればっかりは仕様がない。
元来住む世界が違う神と人とが共有できる時間は、百年にも満たない、ほんのわずかな間だけなのだ。

だから僕は一日一日を大切に過ごし、ささやかな幸福だけを噛みしめて生きることにした。
はじめて出来た愛しい人のそばで、他に邪魔する人は誰もいなくて、
死ぬまでずっとしあわせなことだけ考えて生きていけるだなんて、
自分はなんて果報者なのだろうと、僕は毎日、心の底からそう思っていた。

ほんとうに、そう思っていたのだ。





( ・∀・) 「それじゃ神様、行ってきます」

そうやって過ごすうちに訪れた何度目かの冬。
ある朝僕は簡単に準備を済ませて、霧がかる社の外に出ていった。

川д川 「気をつけてね。はやく帰ってきてね?」

( ・∀・) 「仰せのままに」

手を振る彼女に冗談めかして笑ってみせてから、僕は社に背を向ける。

今日は半年の一度の神の言葉を伝える日だ。
と言っても、やることといえば、近頃めっきり老け込んだ村長に挨拶をして、
あとはついでに生活用品を買い込んだりするだけである。

相変わらず僕は嫌われ者だったが、石を投げられたりすることは少なくなったので
以前よりは人里を厭わないようになっていた。
身体が大きくなったせいかもしれない。
歳を取るというのもあながち悪いことばかりじゃないな、と僕は気楽に考えつつ歩を進めた。


だが、そんな風にのんびりしていられたのもそこまでだった。



( ・∀・) 「……」

僕はまだ社を離れていくらも歩かないうちにぴたりと足を止め、
まっすぐ前に視線を固定したまま数秒間停止したあと、

( ・∀・) 「なんだあんたら」

と、白い息とともに吐き捨てた。


僕の目の前に現れたのは六、七人の男と、
それを取り巻きのように背後に従えた、一人の若い女だった。
社から村へ続くたった一本の道を、ふさぐように広がって立っている。

僕は自分の表情がみるみる硬くなるのを感じる。
見た処麓の村人のようだが、それならばここが禁域であると知っているはずなのに。
お世話役以外の人間は決して立ち入ることが許されないはずのこの場所で、
こいつらは一体何をしているんだろう。

( ・∀・) 「ここは神のおわします場所だ。早く出て行け」

川 ゚ -゚) 「……神、ね」

黒い髪を長く伸ばした女が、ぽつりとそう呟いたのが聞こえた。



( ・∀・) 「あんたは?」

川 ゚ -゚) 「私はクール。麓の村の長、素直クールだ。
      君は十五代目のお世話役か」

( ・∀・) 「ああ、そうだ。でも村の長はシラネーヨという爺さんだよ。あんたじゃない」

川 ゚ -゚) 「彼は死んだ」

(;・∀・) 「は?」

あまりにさらりと言われたので怪訝な声が出た。
とぼけた顔が脳裏をよぎる。
長としての立場からか、それとも元からそういう性分だったのか、
他の連中のように僕を迫害する訳でなく、ごく普通に接してくれた村長。
最後に会ったときも老け込んではいたが元気そうで、始終穏やかに笑っていたのに。

川 ゚ -゚) 「何を驚くことがある? 彼は高齢だった。いつ死んだっておかしくないだろう」

(;・∀・) 「ああ、いや……そうなのか、そりゃ……残念だ。
      ……それで、あんたが新しい村長?」

女はこくりとうなずいた。
まったく表情が変化しない。陶磁の人形みたいな女だ。



( ・∀・) 「ずいぶん若いな……。まあ、話は判ったよ。
       でもあんたが村長だというなら尚更、規律を乱すようなことはやめてもらいたい。
       この神域は絶対不可侵だ。村の人間なら判るだろ?」

川 ゚ -゚) 「神域、ね」

クールと名乗った女はまたしても呟きをもらす。
表情が変わらないので一度目は気付かなかったが、
その声には微量に感情が含まれていた。
わずかな嘲笑、嫌悪、怒り、千々に乱れ入り交じった、複雑な負の感情。

にわかに胸中を不穏なものが駆け抜けた。
あんた一体、と、僕が口に出す前に、しかし彼女が先に口を開いた。

川 ゚ -゚) 「君はこの山の神がどういうものか知っていて
      そんなことを言っているのか?」

( ・∀・) 「……どういうものって? 神様は神様だろう?
       ああ、昔、お山を荒らした人間を呪っていたことを言っているのなら――」

川 ゚ -゚) 「違う」

クールはひどくきっぱりと言い切った。



川 ゚ -゚) 「違うんだ。君が神であると信じ、
      村の者が昔からあがめてきた『それ』は、神などではないんだよ」

( ・∀・) 「なん……」

川 ゚ -゚) 「私は『それ』を殺しに来たのだ」


そのとき僕ははじめて気が付いた。
クールの、ひどく冷徹な瞳の奥底に、明確な殺意が宿っていることに。


川 ゚ -゚) 「神を名乗る不届き者の首を狩るために私は来たのだ。
      ――正確には、神と呼ばれ、自らもそう思い込んでいるだけの、
      哀れなまがい物の首を」



ブーン系小説 | 20:59:50 | Trackback(0) | Comments(0)
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